ブラジルデザインについて
ブラジル、というと最初に思い浮かぶイメージはリオデジャネイロのカーニバル、常夏の太陽にビーチ、といったものでしょうか。
ブラジルの国土は広く、北部と中部、南部、またその中でも東部と西部では気候も文化もまったく違い、まるで別の国のようです。そんな多種多様な顔を持つブラジルなので、デザインといっても短い文章ではとても語りつくせないのですが、今回はブラジルが誇るデザイナーをほんの少しですがご紹介させていただきます。
まずはインテリア・デザインから。ブラジル・モダニズムの巨匠、セルジオ・ロドリゲス。(Sérgio Rodriguez 1927-2014 ポルトガル語では「ホドリゲス」に近い発音になります。)リオデジャネイロ出身で、アトリエがボタフォゴ地区にありました。
https://dehouche.wordpress.com/2011/01/20/10-minutes-with-design-legend-sergio-rodrigues/
特に椅子のデザインで有名です。1957年に発表した「モーリ=やわらかな」ラウンジチェア(Poltrona Mole)は、1961年イタリアカントゥの家具ビエンナーレで入賞したことでロドリゲスの名を一躍世界的に有名にしました。この椅子はMoMAの常設コレクションにも加えられています。
続いては現在ひっぱりだこのカンパーナ兄弟。ご存知の方も多いと思います。
フェルナンド&ウンベルトカンパーナはサンパウロ郊外で誕生、自然に囲まれた環境で育ち、建築家と法律家になりましたが、一転デザインの世界で活躍しています。彼らも椅子のデザインで有名ですが、活動はそれにとどまりません。
ブラジルの人気プラスチック靴ブランドメリッサ(Melissa)との2004年以来のコラボレーションデザインは根強い人気を誇っています。また、2013年にはFENDIと、2015年にはLuis Vuittonとコラボレーションした作品も発表しています。
左から
コクーン(Poltrona Cocoon) 2015年
弟フェルナンド (1961 – )
兄ウンベルト (1953 – )
ヴェルメーリャ(Vermelha、赤) 1993年
Melissa
バンケットチェア 2002年
FENDIとのコラボ作品 2013年
FENDIとのコラボ作品 Thousand Eyes (Poltrona de Mil Olhos) 2015年
数ある彼らの作品の中でも私のお気にいりはこの椅子です。
著名な皮細工職人であるエスペジート・セレイロ(Espedito Seleiro)と兄弟が組んで創り出された芸術品
2015年4月に発表されたこのカンガッソ(Cangaço)シリーズは、19世紀からポピュラーになった藁を編んだ椅子と、ブラジル北西部に伝わるカラフルな皮細工の伝統技術を組み合わせたものです。
いつか自分の家に飾りたい逸品です。
地球の反対側にある一番遠い国ですが、日本との関係も深いブラジル。サッカー交流もよいですが、家具や靴、ビーチサンダルのみならず建築、アート、モード、音楽、グルメなど、多様でカラフルなブラジルカルチャーが日本にもっと紹介されて、文化面でももっともっと交流が深まるといいなと思っています。
ウェブサイト:
セルジオ・ホドリゲス
http://sergiorodrigues.com.br/site/?lang=en
カンパーナ兄弟
http://campanas.com.br/en
インテリアコーディネーター専門科 1A 大橋 有里香